店舗の移転を計画する中で、秋田市の市街化調整区域では店舗などの開設許可を得ることができず、空き家や地域の利用価値が低いことを知りました。2022年の12月頃から国土交通省・県・市・国会議員・県会議員・市会議員等に問い合わせを始めました。市街化調整区域の問題についての認識や問題把握の程度は、個人により大きく異なっていて、それぞれ反応は様々に異なるものでした。きちんと現状を把握していて問題意識を持っている人もいれば、全く問題を把握していないのではないかと思われる人や、問題点を改善する意志が希薄と思われる人もいました。
大元の制度の担当省庁である国土交通省に電話をして、担当部署の職員とも合計で2時間ほど都市計画法・市街化調整区域の制度について話をしました。また、同じ法令のもとで全国の自治体ごとにその運用が大きく異なっているため、先進的な運用の自治体や厳格な運用の自治体の担当課にも電話をして、担当者から話を聞きました。
その中でわかったことは、市街化調整区域の制限の大元となる都市計画法が制定から半世紀以上経過して、すでに現在の社会にふさわしい内容ではなくなっているために、自治体がそれぞれの解釈で制度の運用をしているということでした。また、古くなった都市計画法から脱却して、市街化調整区域の枠組みそのものを廃止した自治体もありました。都市計画法は、農家は代々農家を継いで、田畑の近くに長男も次男も三男も住むだろうという前提で土地利用が考えられていて、現在の社会情勢には全く適応していない内容になっているので、自治体が工夫して業務を行わないと、郊外地域の人口減少や空き家増加などの過疎化・空洞化に対して、有効な対策を取ることが難しいのが現状でした。国土交通省にしても、市街化調整区域に厳しい制限を設けながら、そこにある空き家や土地などの地域の資産を有効に活用するべきだという、矛盾した内容の政策を行っているのが現状でした。土地利用に関しての大元の法令を変えずに、小手先でなんとか対応しようという政策が取られているような印象でした。
秋田市の場合は、古くなった都市計画法に基づいて厳格に業務を行っている面があると言いますか、あるいは逆に正しく守っていないと言いますか、独特の解釈で運用しているようなところがありました。都市計画法で利活用が禁じられているから空き家の店舗等の事業所としての有効利用はダメというのが基本方針としてあり、都市計画法の中の緩和措置として認められている店舗の許可についての制度も活用せずに、店舗はダメの一点張りという感じの制度運用と業務を行っていました。そのため、都市計画法で認められている1号店舗についても、ほぼ許可したことが無いという状態でした。法令を厳格に守る姿勢を持ちながら、その一方で法令の中で認められている緩和措置を認めないという、少々いびつで変わった業務だったのですが、長年の前例踏襲でそれが当たり前のことのように行われているように見えました。当初、市役所職員と話をするときに、いったいどの時代の人と話をしているのだろうと思ってしまうくらいに、説明や運用に現代的な視点が感じられず、現実と整合性のない古臭い内容に感じられるものでした。
それでも、問題を認識してくれる方々が各所にいて、様々な立場の人たちからの理解と協力もあって、秋田市でも1号店舗については前向きに検討し許可するという業務の改善が2023年の6月ころに決まりました。ご尽力いただいた皆様に感謝です。都市計画法が制定されてから半世紀以上経っての業務の見直しなので、随分と遅い対応ではありますが、 秋田市でもようやく郊外の市街化調整区域の空き家などの利活用に、今までよりは少し可能性が広がりました。
私にとっても朗報だったのですが、その翌月の7月に大規模な洪水が発生してしまい、私が移転しようと思っていた場所もかなりの水深で水害を被り、移転計画は白紙にせざるを得ませんでした。
ほぼ許可しないと決めていた業務から、許可もできる前提に変わった秋田市の1号店舗の許認可業務ですが、1号店舗は日用品の販売・加工・修理等の店舗に限って許可されるもので、現在の新しい業種や事業や職種に対応できるものではありません。市街化調整区域の空き家を利用して、例えばIT関連の事業を行うなどは、日用品の販売ではないので許可の対象外になります。それをそのまま当てはめて私の事業で考えると、革製品の販売加工及び革手芸用品販売の店舗として1号店舗の許可が得られますが、細分化して考えると私の教室業務は1号店舗の対象外の業務ということになります。もちろん、教室は私の業務の一部であり販売促進の一環の業務ですから、あくまでも本業は皮革製品の販売加工等であり1号店舗の要件は満たしています。
いくつか例を考えてみると、洋裁学校は1号店舗の対象外ですが、手芸教室を販促事業として行う手芸店は1号店舗の対象になると考えられると思います。子供の学習塾はどうでしょうか。日用品の販売ではないので、1号店舗の対象外だと考えられます。地域の子供が利用できるように学習塾を開きたいと思っても、秋田市の市街化調整区域では基本的には許可されないと思います。現在の少子高齢化や郊外の過疎化問題の中で、その地域のためになり子どもたちのために必要なものであっても、その地域に住む人を対象とした日用品の販売・加工・修理以外のものは認められないのが、市街化調整区域で認められる1号店舗の規定なのです。
秋田市では、引き続き厳しい制限がありますが、自治体によってはかなり制限を緩和して運用しています。飲食店・理髪業・コンビニなども生活に必要な事業として1号店舗の対象にしている場合も多くあります。緩和的運用の例の一つですが、前橋市の1号店舗の運用基準では、「第一種中高層住居専用地域に建築することができる店舗、飲食店等」が許可対象とされており、「学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設」も許可対象です。他にも物販以外の店舗も許可対象になっています。同じ法律に基づいて運用されているのに、その内容は自治体によって実に大きな違いがあります。ちなみに、秋田市の場合は許可対象とする事業の詳細な規定は公開されておらず、制度や運用の内容は明確化されていません。
2023年6月に決まった秋田市の1号店舗許認可の業務改善は、本来法令で認められていることを認めることにしたというもので、ようやく法令ができた半世紀以上前のレベルになっただけです。現在の社会の変化に対応したものには、まだまだほど遠い状態だと思います。半世紀以上の市役所内の業務の前例踏襲を廃して、1号店舗の許可に舵を切ったことは、市役所としてはおそらく大きな転換だと思いますのでもちろん評価できますが、今まで秋田市の制度と業務の壁に阻まれてきた人たちが多くいた事を考えると、やはり対応が遅すぎたのではないかとも思います。ますます人口減少や空き家の増加の問題は深刻になりますので、現在の社会状況に適応できるように、さらに踏み込んだ制度や業務の改善に取り組んでほしいと思います。
(河辺・雄和地区の市街化調整区域には、広く12号指定という開発緩和措置が定められているため、秋田市の他の地域と状況が異なります。合併からの経緯ですが、秋田市は地域により緩和内容が公平ではありません。)
秋田県内で市街化調整区域の定められている自治体は、秋田市と潟上市だけです。もともとは県が定めて市が管理している関係にあるのですが、市街化調整区域のあり方については、早急に関係者・関係機関で話し合い、現在の社会情勢の中での制限と利活用のあり方を見つめ直す必要があると思います。人口減少があまりにも早く進んでいますので、待ったなしで必要な見直しだと思うのですが、その動きは鈍いのではないかと昨年の活動中には感じました。
せめて、空き家の利活用については早急にもっと積極的に対応していかないと、郊外地域の過疎化や荒廃の進行の放置につながってしまいます。 近年問題が顕在化している熊の問題でも、人と野生の境界域をどう維持していくのかというのが課題となりますので、空き家の利活用を含めて人の生活圏の維持のためにできることは、何でもやってみるべきなのではないかと思います。熊だけでなく、イノシシやニホンシカも山では増えてきています。すでに秋田市の郊外でも、イノシシやニホンシカが居付き生息している状況になっていますが、繁殖力などを考えると今後もどんどんその生息数は増えていくと思います。農作物への被害や人への被害は、熊以上になる可能性がありますので、熊対策と同時に考えていく必要があります。
(私自身も、マタギの若者の野生動物の皮革の利活用事業に協力する形で野生鳥獣対策の一端に参加し、熊・イノシシ・ニホンシカの皮革の利活用を視野に入れています。)
全国的に見ると、ツキノワグマの捕獲数は1年間で数千頭規模ですが、イノシシの捕獲数は50万頭以上、ニホンシカの捕獲数は70万頭以上です。熊以上の数の脅威が、すぐそこまで来ているのではないかと危惧しております。
ツキノワグマの爪 磨いたり中の構造を確認したり
秋田銀線細工や革と組み合わせる予定
ところで秋田市では、経産省の地域未来投資促進法という制度を利用して、外旭川の市街化調整区域と農地を含めた大規模な開発を行おうとしています。この法令では、工場・研究所・物流施設などは対象として認められていますが、大規模に人を集め周囲の宅地化を促進してしまうような集客性の高い商業施設は、基本的には対象外とされています。でも、秋田市はイオンを中心にした商業地域を造るのが目的のように見えます。東北からイトーヨーカドーが撤退と言った報道もある中で、スーパー依存の開発をこれから行う必要がどれほどあるのか疑問に思います。もはや古い手法となった昔の開発計画のように感じられるのですが、イオンの事業と競合する地元の企業をもっと大事にしたまちづくりはできないのだろうかと考えてしまいます。
都市計画の基本的な欠陥とも言えそうな秋田の市街化調整区域の問題を放置しながら、一方では市街化調整区域や農地に商業地域を無理をしてでも造りたいという政策がどうして行われているのか、私には理解できません。秋田市には、立派なまちづくりの指針となる計画書がいくつもあり、その中では良いことがたくさん書かれていますが、それが市政に反映されているとは思えない点もあります。地元紙の連載で知ったことですが、こういった計画書は市役所内で必ずしもまとめられたものではなくて、外部の業者に外注してまとめさせたものもあるようです。中央省庁の発信している言葉をそのまま使ってまとめたような文章が多いのですが、体裁だけの計画書で、本当に地域の問題を見つめて書かれたものではないのかもしれません。市街化調整区域についての問題意識が各所で低く感じられたのも、自分たちで考えていなかったからなのではないかと、地元紙の記事の内容には私なりに納得のいくものがありました。
秋田市の海沿いは街が発達
外旭川地区は中央から右寄りの遠くにある
海岸線は風車だらけ 最も遠くに見えるのは男鹿半島
外旭川の開発で利用しようとしている地域未来投資促進法において、すでに秋田市で認められているのは、河辺のへそ公園周辺での事業です。地域未来投資促進法は地域資源を活用した事業を行う制度ですが、計画資料や報道から判断するとこの地域で中核となるのはウイスキーなどの酒類の製造施設なのではないかと思います。計画地域は水のきれいな鵜養の入口あたりの地域です。鵜養では秋田市の酒造会社の酒米づくりも盛んですし、豊かな水資源がある地域の特性に合った事業計画なのかもしれません。
経産省の地域未来投資促進法の同意計画の一覧で東北の事例を見ると、ピンポイントの地域開発で特例を受けようとする内容であることが秋田市の特徴としてあるように感じます。他の事例では、もっと広域で地域の特徴を活かし課題に向き合う雰囲気を感じるのですが、外旭川開発計画と河辺の計画を見ると、秋田市はここを開発したいという狭いエリアに集中した個別開発への制度の利用の意図が強いように見えます。
外旭川開発を考えるより、市の建設部には市街化調整区域や秋田市郊外の問題解決のために制度や業務の見直しをしてほしいと思うのですが、市街化調整区域や農地の利用法を変えてまで計画されている外旭川開発の担当部署は、実は建設部では無いようなのです。秋田市が大きな計画や市長の意図する計画を進めるときの担当部署は、企画財政部であることが多いようなのですが、外旭川計画を実現するための部署も企画財政部にあります。制度の趣旨や秋田市のまちづくり計画と矛盾しない市政であってほしいのですが、私が2023年に市や県の様々な部署と話をしてみた感じとしては、行政も一枚岩ではなくて、外旭川開発を市や県の各部署が一丸となって強力に進めようとしているような雰囲気はありませんでした。この記事を書いている2024年2月現在、知事はこの計画に同意していませんが、この先どうなりますことか。
突出した目立つ開発計画よりも、市内各地域の問題を見つめ直して、基本となる制度や業務の見直しをしてほしいと思います。私が調べてみた市街化調整区域の取り扱いだけでも矛盾だらけで、現在の社会の変化に全く対応できていませんでした。外旭川開発に掛ける時間と労力と個々の職員の能力を、すでに足元にある秋田市の課題解決のために使ってくれたら、きっともっと秋田市政は良くなるし、人口減少にも対応していくことのできる可能性があると思います。
今後の秋田市の人口減少の割合は、%で言えば県内の他の自治体よりはまだ良い方ですが、 もともとの人口が多いので減少する人数で見ると圧倒的に秋田市が多いという現実があります。秋田市は、一部の市街地以外の郊外はかなりの田舎であり、開発されていない田舎の部分が多い自治体です。人口が減るから、そういった地域は寂れて当然とすることはできません。祖先が切り開いてきた人の生活圏・活動域を簡単に手放してはなりませんので、市街化調整区域を含む郊外の在り方を、県と市には考えていただきたいと思います。
以下 2023年 3/13および3/24に追記
地元紙の報道で見たところ、 外旭川の開発事業計画において、秋田市役所は地域未来投資促進法を農地の制限解除に利用し、市街化調整区域の制限解除は都市計画法で行うと表明しているそうです。私が空き家を店舗に利用するにあたっては、古い農作業小屋を使う私のささやかな工房店舗が新たな市街化や宅地の増加につながる可能性があるからダメだと、規制一辺倒の非常に厳しい説明をした秋田市役所が、いったいどうやって都市計画法で制限を解除し大規模商業開発を可とするのか想像ができません。
市街化調整区域の中で開発緩和を認める11号指定された地域でさえ、秋田市役所では第一種低層住居専用地域と同等の開発と土地利用しか認めないと、私は何度も言われました。第一種低層住居専用地域で許容されるのは店舗兼住宅・事務所兼住宅で、面積は50㎡までです。独立した店舗の設置は認められません。そして顧客の過半が店舗周辺の住民でなければなりません。そういった厳しい規制を市民には強いているのに、自らは市街化調整区域で大規模商業開発を計画し推し進めているのですから、市民には厳しく、大手企業と自分たちには甘くという姿勢があまりにも露骨です。
ちなみに、お隣の潟上市では同じ11号指定地域で「地域ごとの課題に柔軟に対応」できるように、「一般住宅・店舗等・事務所等・ホテル・旅館・小規模工場」などが認められる事になっています。1号店舗と異なり地域限定の日用品の販売店に限られるものではなく、情報やシステムなどの現代的な業種や学習塾等も含めて、幅広い業種が対象になるものと思います。
それと比べて、秋田市の市街化調整区域の事業所の許可はたいへん厳しいものです。すでにそこに存在する建物を使う場合でも、日用品をその地域の人たちに販売する目的の店舗以外は認められないというのが都市計画法の原則としてあるため、秋田市役所の業務はそれに厳格でした。大規模商業施設などはもってのほかで、その地域に居住する人が利用する日用品販売に限られた小規模なものでなければならないというのが秋田市の立場です。それなのに、秋田市役所自らが計画する大規模商業開発は、都市計画法で許可するという見解を秋田市役所が表明していることに大きな矛盾を感じます。
商業施設ではなく、ただ家を考えた場合でも、市街化調整区域に昔から存在している集落で規制緩和の11号指定から漏れていれば、今後その集落を維持していくために、人が家を所有し住むこと自体が難しくなるのが現実です。古い法令のままでは、農家以外は家を建てることも住むこともできず、多くの人にとって空き家も土地も利活用しにくいものになるのです。(家が建っている状態で、それが線引き前住宅であれば、農家以外の人にも利活用と再建築の可能性があります。河辺・雄和とそれ以外の秋田市では線引きの時期が異なり、合併前からの秋田市はおそらく不利な状況にあります。一度家を解体して、その後に農家以外の第三者が土地を取得して家を建てることは、おそらく秋田市の制度ではできないと思います。それが可能になる条例を定めている他県の自治体はあります。)
秋田市役所には、自らの大規模な開発事業の都合で市街化調整区域について考えるのではなくて、もっと切実な市民の足元の問題として、都市計画法の根本から市街化調整区域の在り方や土地の利用規制やまちづくりについて考えていただきたいと思います。
市街化調整区域の空き家増加や人口減少問題は、もうすでにかなり進行しています。また、市街地でも空き家の増加は深刻で廃屋化している家屋も至るところにあります。秋田市中心部の住宅地でも、廃屋は散見されます。住宅の密集した市街地では、接道状況から再建築不可の物件も多数あり、法律の制約で今後利活用の難しい空き家や空き土地はどんどん増えていきます。市も県も、こういった足元の問題について積極的に対応していく必要があります。これからますます今までの都市計画・まちづくりの欠陥が吹き出して来るので、まずはすでにある街や集落の見直しが必要なのだと思います。
いまさらの商業施設を核にした大規模開発は、時代遅れの計画のように感じられます。外旭川をモデルシティとして、そこで得られた成果や知見を他の地域にも波及させると秋田市役所では説明しているようなのですが、都市計画法を都合よく使って制限を解除して行う大規模開発事業など、他の地域のモデルになるわけがありません。
秋田市御所野はイオンを中心に開発されたような印象の住宅地ですが、地域間を結ぶ幹線道路からはずれた丘の上の立地でした。外旭川は地域間を結ぶ幹線道路沿いに開発計画地域がありますので、渋滞の懸念などを考えても、御所野とは異なる対策も必要になり、周辺を含めた開発の規模は拡大するのではないかと想像しています。御所野は秋田市の人口が右肩上がりの頃に開発されましたが、今は地域の人口減少や高齢化がすでに現れています。右肩下がりの情勢が急激に進んでいますので、イオンを中心とした大型開発の実効性や合理性がどの程度あるのか、将来の地域の在り方を含めてじっくりと考えるべきだと思います。2050年までの人口推計では、秋田市の人口は今よりも7万人以上減少します。2024年現在の潟上市と男鹿市と五城目町と井川町と八郎潟町と大潟村の人口を合わせたくらいの居住者が、秋田市からいなくなるのですから大変な人口減少です。商業地は当然影響を受けます。
外旭川の開発については、本来は秋田市と秋田県が共同で計画を立案するのが在るべき姿だと思いますが、実際には秋田市がイオンと計画を立案し、それを秋田県が追認するかのような形で開発計画が進められているように見えます。地元紙の報道などを見たり、制度の趣旨を確認する限り、計画の根本から何かが違うのではなかろうかと、そんなことを感じます。
より良い卸売市場とより良いサッカースタジアムを造る。それが主眼であるべきだと思います。実際にはイオンが主役かのような開発計画を強引にでも進めようとしている秋田市政は大丈夫なのでしょうか。人口減少や高齢化で各地域の衰退が間違いなく進行するのが見えているのですから、新たな大型開発ではなく、企業に対して既存の店舗の維持や充実を自治体は求めるべき局面のように思います。
サッカースタジアムについては、サッカーの秋冬へのシーズン移行も想定すれば、北国秋田で屋根のないスタジアムを今から新設する計画は、なんとも貧弱なもののように感じられます。どうせならば、屋根付きで冬季間・降雪期の利用も問題なくできるものにしてほしいです。工事を行うことが目的になってしまうと、できてからがしょぼい公共施設になってしまいます。良いものを造ることをブレずに考えてほしいです。
以上 2023年 3/13および3/24に追記
鵜養地区にある清流 とても気持ちいい場所
それから、私が空き家問題を考える中で思ったことを一つ書いておきたいと思います。それは、今後なかなか買い手がつかないような空家等の不動産物件を流通させる仕組みが必要だということです。ニーズの少ない地域の格安物件や農地付きの物件などです。
この課題については、中央省庁の旗振りで空き家バンクという取り組みが全国で行われていますが、空き家バンクの制度では地元の不動産屋が扱う物件という制限がある場合があります。でも、不動産屋には売れる見込みのない物件を扱うメリットがなく、仲介手数料は不動産の販売価格を元に算出されるので、売れる見込みのない物件や格安の物件を扱っても利益にはつながらないのが現実です。仲介ではなく、買い取って販売する業務としても、売れて利益が出るという見込みがなければ難しいものと思います。
今後の空家等の不動産は、おそらく高価格な物件と低価格な物件が様々に出てきます。高価格でニーズのある物件は不動産屋が進んで取り扱うとして、様々な条件から簡単にはニーズが見込めないような物件をどうするかが、今後ますます問題になるのではないかと思います。とにかく人口が減っているのですから、空き家や空き土地の増加に対してニーズは少なくなるわけです。その流通や利活用には今までにない工夫が必要になります。
本来は、自治体が行う空き家バンクには、こうした格安になってしまうであろう郊外の物件などが廃墟にならないように、使い手を見つけるような機能が必要だと思います。必ずしも不動産屋を介した物件だけでなく、個人からの物件も取り扱い掲載して、取り引きのときには個別の状況を判断して、不動産屋に限らず地元の司法書士を紹介するなどの柔軟性を制度と業務に取り入れて対応していく必要があるのではないかと思います。格安物件の取り扱いに応じた業者に対応手数料を補助するなどの制度もあり得るかもしれません。
(2024年7月に、800万円以下の廉価な不動産の売買の仲介手数料が、33万円まで認められるようになりました。増え続ける空き家の流通促進のための取り組みです。不動産屋が廉価な空き家を取り扱うことを促進するということです。)
秋田県内の自治体の空き家バンクの中で、鹿角市では1万円物件を含む格安物件が多数掲載されています。独自の取組方針があるのだと思います。不動産屋の取扱い物件でなくても空き家情報を掲載するようにしないと、空き家バンクに求められる空き家情報の質と量の取りまとめはできないだろうと思います。
今後ますます廃墟になっていく可能性のある空き家などが、今よりももっと急速に多くなっていくのではないかと思います。空き家の相続や管理について、各種の規定や罰則を設けても、それだけで解決できる問題ではないと思います。不動産が負動産となり、やがて腐動産となる。すでにそれが現実になっているのが実情だと思いますが、今後さらにひどくなることが予想されますので、できることは何でも試みるような、積極的で迅速な対応が必要なのだろうと思います。おそらく賃貸の空室なども含めれば秋田市には万単位の空き家がすでに存在していると思いますので、問題は相当に深刻な状況になっているのだと思うのです。
土地の利用に関しては、郊外地域だけでなく、市街地の住宅地でも全国で見直しが進められています。地域の維持が難しくなっているのは、郊外も市街地の住宅地も同じなのです。 急激な人口減少が進む秋田市には、市民のためになるもっと柔軟で積極的な対応が求められると思います。
広小路沿いの外堀の中に浮体式の水上遊歩道の設置工事
冬の工事なのに今季は雪がない日が多い
確か総工費は4臆円くらいだったように記憶している
これが必要なものなのかよくわからない
製造は福岡の企業 設置は秋田の企業
長く散漫な文章になってしまったと思いますが、2023年7月の洪水以降、私の店舗移転計画が白紙になってしまってから、市の業務が変わったことをきちっと書くことができずにおりました。随分時間が経ってしまいましたが、市の業務が変わったことを書いておきたいと思い、この記事を書きました。
写真は本文とはあまり関係あるものではありませんが、文章だけでは寂しいので、パソコンの中から探した画像をいくつか掲載しました。 やっつけ感がありますがお許しを。
パソコンという言葉が使われる以前の大型のコンピューターの開発と同時に進められていた卓上電子計算機の話を少々。市街化調整区域の制限を定める都市計画法が施行された
1969年(昭和44年)、この年にシャープから初めて真に卓上と言える電子計算機「QT-8D」が発売され、重量は1.4kgで価格は99,800円だったそうです。その5年前の1964年に発売された同じくシャープの卓上電子計算機「CS-10A」は、重量が25kgもあり、初任給が19,000円程度の時代に535,000円で発売されたそうです。重さと価格の面で「QT-8D」は5年間で随分進歩したと思いますが、現在の電卓やスマホと比較すれば現代社会での実用性はほとんど無いと思います。
そして、同じ年に施行された都市計画法の市街化調整区域の制限が今も変わらず続いていることは、「QT-8D」が今も使われているようなものと言えるかもしれません。1969年から進歩が止まり小規模なパッチが当てられるだけで大規模なアップデートも本体の見直しもされずにいる製品がいまだに市場を支配していて、時代錯誤の古いツールをユーザーが使うことを強いているようなものだと思うのです。スマホの時代に、重さ1.4kgで99,800円の機能の乏しい電子計算機が世の中に必要とされていないことは誰にでもわかります。目に見える製品とは異なり、小難しい言葉で書かれている法令になるとその判断は急に難しくなりますが、市街化調整区域の制限は昔話の世界で作られたようなものなのではないでしょうか。
社会の変化は近年ますます急速になっていますが、古い時代錯誤のツールの使用を強制しながら、人口減少や高齢化や空き家問題などの急速に悪化する社会問題に対応する必要性を説き、交流人口や関係人口を増やせと自治体は無理な旗振りをしていると思います。市街化調整区域では外から人が来る事業を禁じているのに、地域にとって交流人口と関係人口を増やすことが大事だと説く二枚舌が通用するはずがありません。どうしてこのような大きな矛盾が放置されているのか理解に苦しむのですが、一般的に許容できる範囲を大きく超えていると思うのです。土地利用や空き家の利活用については根本的な見直しをしていただいて、制度が地域の維持と存続に役立つようになってもらわないと困りますね。
もしも都市計画法や市街化調整区域の制限の大元の法令が変わらないのであれば、秋田市役所が秋田市に必要な解釈や緩和を考えて実施するしかありません。国が法令を変えるのを待つのではなく、地域社会の存続のためには独自に考えるしかないのだと思います。それは、あまりにも内容が古いために、自治体に柔軟な運用が求められている現在の都市計画法では当然とも言えることだと思います。
問題山積ですが、全国でも最も人口減少と高齢化の問題の顕在化が進む秋田で、課題に向き合いお金をかけずに制度や業務の見直しでできることもたくさんあると思います。前例踏襲にとらわれず、できることを迅速に工夫して実践していくようになってほしいと思います。自治体が自由に工夫するというのはとても難しいことですが、これからの問題の深刻さを考えると、どこかの時点で覚悟を決めて思い切った業務の見直しが必要になるのだろうと思います。新たな大規模開発を考えるよりも力を入れたほうが良いことが、様々にあるような気がいたします。
都市計画法が施行された55年前には、地域の住人を対象にした日用品の販売・加工・修理という許可する事業のくくりが適切だと考えられたのかもしれません。 でも、今は生活環境・経済活動が当時とは大きく様変わりして、農家・農村の概念を前時代的に考えることはできませんし、狭い地域の中だけで成り立つような生活や経済は考えられません。人の生活の中に情報産業から生まれた仕組みが当たり前のように存在する現代社会の中で、市街化調整区域や農村部を55年前からの制限で縛ることは不適切なことだと思いますし、新たな業種や事業の形が必要なのは必然だと思います。市街化調整区域にももっと自由な活動ができる寛容さが欲しいですね
人口減少と高齢化が急速に進む右肩下がりとも言える社会環境の中で、市街化調整区域や農地を大規模開発するための算段をする必要は無いと思いますし、巨額の費用を掛ける新たな「モデルシティ」を構想しなくても良いと思います。既存の街で新しい取り組みを行えば良いだけの話です。身近なところで誰しも感じることがあるのではないかと思うのですが、いま在るもので傷んでいるものがたくさんあります。既存のものの手入れをしながら、既存の街で新しい取り組みも試みるということで良いのではないでしょうか。
農地や市街化調整区域での新たな大規模開発よりも、1号店舗を許可する業務に変えた延長線上にある、いま使うことのできない空き家や土地を市民が幅広く使えるように制度を変えて、既存集落を維持しながら、現代社会の中で普通に考えられる市民の活動ができることを優先し実現していただきたいと願います。それはもともとの都市計画法の目的に合致することだと思いますし、少しの工夫からできることがいくつもあるはずです。
市街化調整区域の理念を活かして農地や自然を守りながら、ある程度の事業を許容する形で既存集落の維持につなげていくことは、制度の上では難しいことではないと思うのです。国任せにせずに、市や県には心から頑張って欲しいと思います。
さて、市街化調整区域や空き家について考えるきっかけとなった、私の移転計画はその後まったく進んでおりません。一度決まった物件が、私にとってはかなり理想的なものであったので、次がそう簡単に見つかるとは思えません。でも、移転は必須のことなので、移転できる場所と出会えることを願っているところです。
(2024.07.07:有力な物件との出会いがあり、移転に向けて現在段取り中です。)