2021/02/23

久保田城渋江家屋敷跡発掘:5(再投稿:2019年05年25日)

 

 私の店の前の県民会館跡地で行われている。埋蔵文化財の発掘調査の出土品を何点か紹介します。

 最初の写真は漆塗りのお椀です。これはきれいに図柄も形も残っているように見えますが、塗膜だけ残っているようなものもありました。出土した木製品は、防腐処理をしない限りは、この画像のように水につけた状態で保存するそうです。こうしておくと、水が腐らない限りは木製品も大丈夫だとのことでした。これは現場での一時的なものではなくて、埋蔵文化財センターで保管する場合も同様にしていて、年に何度か水を変える作業が行われるそうです。たいへんな手間ですね。



 左の袋に入っているのがシャモジ。右の袋に入っているのが、羽子板です。シャモジは大きめです。家老の屋敷ですから、相当数の使用人もいたと考えられるそうです。シャモジも大きめが良かったのでしょうかね。



 墨をする硯です。裏側に太秦と彫られています。京都産でしょうか。



 こちらも硯です。裏に年号が刻まれていて、1750~1760年頃と教えていただいたと思うのですが、記憶が定かではありません。硯を入手した年を彫ったのかもしれませんね。こういった年号が明らかな出土品が出ると、発掘現場の年代の確定などに大いに役立つそうです。



 年号の彫り込まれていた硯の表側です。使い込まれていますね。



 これはクシです。とても細かな細工です。他にはホウキや下駄などの生活用品もありましたが、はっきりわかるような写真を撮ることはできませんでした。



 人形の手です。仏像の手なのか、あるいは子供のための人形の手なのか、様々な可能性がありますが、それを特定するのは難しいそうです。手のひらの内側の穴に、なにかを差し込んで持たせるようなことができそうな形をしていました。最近仕事で身近に見ていた雛人形の手に、ちょっと似ていました。




 2枚続けて焼き物の破片です。模様の名前や焼き物の名称も教えてもらったのですが、元々の知識を持ち合わせていないために、記憶できませんでした。ものを知らないと言うのは、こういうときにそのマイナス面が現れますね。ちゃんとした知識があれば、もっと色々なことが感じ取れたはずですが、古い時代の物なのにモダンな感じがするなと言う程度の感想しか持てませんでした。でも、断面の形状などは面白いなと思って見ていました。焼き物は、ずいぶん古い時代から、技法的には完成されたものなのですね。



 グロテスクに思う方もいらっしゃると思いますので、載せるかどうか少し迷いましたが、犬の頭骨です。中心できれいに割られている状態なので、なにか儀式的なことに使われたのかも知れないとのことでした。虫歯があるので飼い犬で間違いないと考えられるそうです。

 頭蓋骨というと、発掘現場では脳を取り出したと思われる動物の骨が数多く出土することもあるそうです。一般にはそれほど多くの脳を食料としていたとは考えられないそうで、おそらく革の脳漿鞣しに利用された跡ではないかと言うことでした。日本の気候や革の性質のために、革製の出土品は、日本ではほぼ見つかることが無いそうですが、皮を鞣していた痕跡と考えられる物は出土していると言うことですね。県民会館跡地の発掘現場とは直接の関係はありませんが、皮革の歴史は人類の歴史と共に、ですね。